新春トップインタビュー  
   
 理研農産化工  
 理研農産化工の鵜池社長に聞く  
 100周年迎え設備投資も最終局
   
 
 2015年6月に、代表取締役社長に再任されて1年7カ月が経過した。2016年の中間決算では、価格優先の経営方針を取った事で、売上高は117億8400万円と前期比7%の減収となったものの、経常利益は、前中間期の赤字転落から、4億500万円の黒字にV字回復を たした。福岡工場に念願であった1200坪の倉庫を入手し、佐賀の小麦粉製造プラントの粉砕ロール機械や篩行程のシフター導入建設を残すだけになった。今年100周年の大きな節目を迎える理研農産化工㈱の鵜池直之社長に話しを聞いた。

鵜池直之社長
——社長に再任されて以降の話しをお聞かせ下さい。
・「心情的な話しになるが、人と云うものは、自分が為すべき課題とか、使命と云うものを たす為に生まれて来ている様である。思いもしなかった場 に出会うのは、人のさだめとか巡り合わせと云うものかも知れない。私は5代目社長として、自分の役割や責任は たしたと考えていた。ところが世の中、先は判らないもので、私が7代目の社長に就任して早いもので一年七ヵ月が経過した。81歳で再び社長職を引き受ける決断をしたが、私の人生、最後の賭けだと覚悟を決めて受け止めた。まずは、目の前の赤字を止める事が、全てであったが、7代目社長としてやるべき事は三つの仕事だと考えた。一つ目の仕事は、一日も早く業績を回復させる事であった。赤字に転落した原因や理由は色々あったが、突き詰めて考えると、今迄利益貢献してくれていたドル箱製品が、赤字製品へ転落した事である。食用油の約三割を占めてきた家庭用油と、小麦粉の中で同じように、約3割を占めてきたミックス粉の事である。この二つに一点集中し、短期決戦で、この改善取組を実施した。ミックス粉は短期間で回復したが、同じ三割でも家庭用油は数 も多く、また、マーケット自体が大きく変化していたと云う事情もあって、大変であった。今では改善がかなり進んでいるが、まだまだ完全に回復したとは言え 状況である。これからも気を抜かず、改善にしっかり取り組んで行きたい」
――中期経営計画の進捗状況は如何ですか。
・「現在、三ヵ年計画で業績回復に取組んでいる。一年目にどこまで回復させる事が出来るか皆目見当が付かなかったが、三年目の今年は我が社の創業100周年の節目の年である。私は〃年目に経常利益を10億円迄回復させる〃と社内で宣言した。しかも、言葉で言うだけでなく、一枚のペーパーに書き上げ、幹部社員全員に渡した。10億円は決意と云うよりも、私の賭けであった。文書化した事で、私の社長としての退路を、自分で断った訳である。私には邁進する以外、道が無くなったのである。もし、これに失敗すれば、80年生きて来た私の経験や経歴、私の人生は全て水泡に帰すことになる。会社の現状は三年目に経常利益10億円まで回復する目標、これから目指す将来の会社の姿など、計画と目標を全員で確認し合ってから、役員会議を進行している。平成29年3月期の通期見通しは、売上高が240億円で、営業利益8億円、経常利益7億円となっている。来期(平成30年3月期)の見通しは売上高270億円、営業利益9億円、経常利益10億円を予定している」
――100周年に向けての設備投資計画を具体的にお聞かせ下さい。
・「前社長に実現を託したが、実現出来なかった二つの経営課題を自分の手で実現しようと考えている。一つは福岡工場の倉庫不足を解消するために立体倉庫を作る事、二つ目は佐賀の製粉工場を新しく建設する事である。倉庫については2015年9月に福岡工場の南側の土地5000坪を購入した。欲しかったのはそこに建っている1200坪の立派な倉庫だった。地主のヤマエ久野さんでは、工場が手狭となり、広い工場に移った為、この土地が不要になった。14年前に当社から買ってもらったこの土地を買い戻し出来る又と無いチャンスであった。この1200坪の平倉庫で、課題であった立体倉庫建設の案件は解決出来た。製粉工場建設の案件は、戦後まもなく出来た現在の工場が築70年であり、建て替えの時期が過ぎていた。北海道や福岡に次ぐ国産小麦三大産地の佐賀に工場立地している有利性を生かせる工場にしたい。これまで国産小麦比率30%を製粉事業の基本方針の一つとして取り組んできたが、数量では佐賀産小麦の半分であった。今後全面引取りを目指し、更なる地元貢献と製品の差 化を拡大して行きたい。具体的には、私が5代目社長の時期に前処理工程であるテンパリング新工場と、後行程であるミックス粉の生産設備と家庭用小麦粉の包装ラインが入っている食品工場、それに立体倉庫と小麦粉タンク等の建設を済ませている。六代目社長が原料小麦サイロ増設工場を完了させており、残りは製造の中心部分である粉砕ロール機械や篩行程のシフター等入る本体工事の建設である。新工場の建設はサニタリーの強化と品質の向上を最重要項目として現在、この建設スケジュールの固めを進めている」
——新年の経営方針や具体的な事業展開についてお聞かせ下さい。
・「我が社はローカルの中堅会社である事を踏まえて、私はこの20年来、グローカル経営、つまり視野はグローバルに、行動はローカルに、と云う考え方で経営に取り組んできた。しかし、残念ながら非常事態に陥ってしまい、これを封印し現在は手許や足許の全ての点に目を集中し、改善に取り組んでいる。営業では価値に見合う価格で販売する様に指示し、その徹底に取り組んでいる。製造では生産行程の見直しを進め、コストダウンの努力をしている。また、全社的に見て、今まで数 管理に片寄り過ぎてきた事を改め、これからは金額管理にも重点を置く様に方針を転換している。また、本年は創業100周年の大事な節目となり、100周年の記念の式典を本年11月17日(金)に開催する事を決めた。厳しい現状を何としても克服し、式典の二日前に当たる11月15日には、佐賀工場において、新製粉工場建設の起工式を執り行う事も決定している。大きな経営課題であった製粉工場の建設こそ創業100周年記念の最も重要な事業だと考えている。製粉工場については、まだ構想段階だが、米粉工場への転用も選択肢の一つと考えている。佐賀県は日本一の餅米産地であるが、餅米製粉工場は無い。付加価値をつける事もなく、全 を県外へ移出している。官と民が協力して全国から二次加工メーカーを誘致し、佐賀を米菓子の大産地にするという事は、理に適った考え方であり、これが実現出来たら、製粉メーカーとして、最大の地元貢献になると考えている」。


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