日本植物蛋白食品協会
   恒例の技術セミナー開催する  
  医療栄養の井上所長講演
 大豆蛋白置替えでLDL低下
     
   日本植物蛋白食品協会(東京都港区・木本実会長)は2月14日、東京・日本橋兜町の製粉会館において、恒例となっている「日本植物蛋白食品協会技術セミナー」を開催した。当日は講演一で日本医療栄養センターの井上正子所長が「植物性たん白の栄養・生理機能について」をテーマに、講演二では宮城大学の池戸重信名誉教授が「食品表示を巡る最新の動向について」をテーマに講演を行った(池戸氏の講演内容は続報)。
 冒頭に同協会の檜山拓也技術部会長(日清オイリオグループ㈱加工油脂グループリーダー)が開会の挨拶を行い特にその中で「当協会は、植物性たん白の重要性、規格、表示、あるいは、製造販売に関わる技術の開発、改善。各種情報の収集を行う事により、植物たん白資源の有効利用、一般消費者の利益に貢献する事を目的に創設された。この中で技術部会は、規格や表示などの技術 に関する事を行っており、本日のセミナーもその一貫として行っている。本日は、植物性たん白の栄養と生理機能、食品表示を巡る最近の動向についての二つのテーマを用意している。基礎となる情報から最近の動向まで幅広く講演してもらえると考えている」と語った。
  引き続き、日本医療栄養センター所長の井上正子氏が登壇し「植物性たん白の栄養・生理機能について」講演を行った。
 井上氏は初めに日本人の寿命について「現在、介護を受けたり寝たきりにならない健康寿命を伸ばす事が推奨されているが、2013年の平均寿命と健康寿命は、男性が80・21歳と71・19歳で、9・02歳の差がある。女性は86・61歳と74・21歳で12・4歳の差がある。この差は年を追うごとに広がっている。日本人の主な死因 死亡数の割合を見ると、癌、心疾患、肺炎、脳血管疾患等の生活習慣病が62%を占めている。人は動脈から老いると言われており、脂質異常症、高血糖、高血圧により、心臓を養う血管・脳の血管・その他の動脈に変化が起こり、プラーク(血管壁にコレステロールが溜まった瘤)が破綻し、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす。具体的には、血圧が高い状態が続くと血管の内皮が傷ついてLDL(悪 コレステロール)が入り込み易くなり、動脈硬化を引き起こす。血液の り道が狭くなると、更に血圧が上がる悪循環が生じる。高血糖も血管の内皮が傷つき、動脈効 が進む。同時に中性脂肪や小さいLDLが増え、これらは血管壁に入り込み易く、酸化されやすい。この事も動脈硬化を進める」と語り、生活習慣病の要因に動脈硬化等の血管の老化がある事を指摘した。
 井上氏は健康寿命の障害となる認知症についても触れ「認知症の67・6%を占めるアルツハイマー型認知症のメカニズムは、脳にベータアミロイド(特殊なたん白質)が蓄積する。神経細胞内で蓄積したたん白に異常なまでにリン酸がくっついたタウたん白質ができ、神経原線維と云う線維構造が作られて蓄積すると脳神経が破壊され、脳が病的に萎縮する現象である。認知症の19・5%を占める血管性認知症は、脳梗塞や脳出血によって、神経細胞が傷害されたり、血腫が脳の神経細胞を圧迫して障害を与える。また、4・3%を占めるレビー小体型認知症の特徴は、パーキンソン症状や、幻覚・誤認、鬱等を引き起こす」と語った。
 同氏は脳を健康に保つ手段については「食品によって脳機能の健康を保ち改善する働きのある食品を総称してブレイン(脳)フードと呼ぶ。脳が本来必要とする栄養素を含む食べ物を摂取し、脳のエネルギーを補給し、しっかりと脳を活性化させようと云う食品や食材とされている。具体的に、ブドウ糖は、脳の唯一のエネルギーで、ご飯、パン、麺類等に含まれる。DHAは細胞膜を柔軟にし、伝達を促進する働きがあり、青背の魚等に多く含まれる。ホスファチジルセリンは、脳細胞代謝促進、心身のストレス軽減に働き、大豆、鮪等に含まれる。レシチンは神経伝達物質の原料で、卵黄、大豆、大豆製品等に多く含まれる。GABA(ギャバ)は脳の血流促進、神経沈静化に働き、発芽玄米等に多く含まれる。テアニンは精神を落ち着かせ、リラックスに導く働きで緑茶に多く含まれる。ビタミンB群には協力し合い、代謝や神経伝達を支える働きがありレバー等に多く含まれる」と語った。
  井上所長は最後に大豆たん白の生理機能について触れ「コレステロール代謝に及ぼす大豆たん白質の影響は、食餌コレステロールの吸収が抑えられる事で、肝臓でのコレステロール合成が亢進するが、同時に胆汁酸の吸収も抑えられ、胆汁酸の合成のために肝臓コレステロールが使われる。この事により肝臓コレステロール が低くなる為、血清コレステロールへの肝臓への取り組みが促進され、その結 、血清コレステロール濃度が低下する。ヒトを対象にした血中脂質について試験38件を比較分析した結 、食事に含まれる動物性たん白を大豆たん白に置き替えると、総コレステロール、特に悪 (LDL)コレステロール及び中性脂肪が明らかに低下した。また、この時、善 のHDLコレステロール値に変化が見られない事から、大豆たん白は悪 コレステロールと善 コレステロールの比率を改善する事が分かった。大豆以外にも小麦たん白にも胃腸機能の調整作用や食後血糖値の上昇抑制作用等の生理機能がある」と語り講演を締括った。
 



 不二製油グループ本社㈱