植物蛋白食品協会
   宮城大の池戸名誉教授が講演
  食品三法の一元化進める
 原料原産地上位一位は義務表示
     
   日本植物蛋白食品協会(東京都港区・木本実会長)は既報 り2月14日に東京・日本橋兜町の製粉会館において、恒例となっている「日本植物蛋白食品協会技術セミナー」を開催した。講演一に引き続き登壇した宮城大学名誉教授で、内閣府消費者委員会食品表示部会委員の池戸重信氏が「食品表示を巡る最新の動向について」をテーマに講演を行った。 池戸名誉教授は初めに食品表示の意義について「食品表示は、食品の供給サイドと消費者を結ぶ信頼の絆である。食品表示のルールを活用するのは消費者である事や、表示には義務表示もあり罰則規定もあるので、事業者は、消費者以上にルールを理解しておく事が必要である。新たな食品表示制度へのステップは、今から八年前の平成21年9月に消費者庁が出来、消費者委員会が設立された。第一ステージとして平成23年9月に食品表示一元化委員会が設立され、食品衛生法、JAS法、及び健康増進法の食品三法の一元化が動き出した。目的の異なる三法は、それぞれに表示のルールが定められていたため、制度が複雑で分かりにくいものであった。このため、食品の表示に関する規定を統合して包括的かつ1元的な食品制度とするため、国会審議を経て平成25年6月に食品表示法を創設し、平成27年4月に施行された。同法の目的は、一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保の為である。また、同年にはアベノミクスの一貫として機能性表示食品制度も創設された。平成32年4月に新法に基づく表示に完全移行されるが、加工食品及び添加物については5年間の経過措置が設けられている」と語り、食品表示制度へのステップを解説した。
  池戸氏は、表示一元化に向けた主な要検討事項として
①加工食品の原料・原産地表示
②機能性表示食品制度における機能性関与成分の取り扱い
③インターネット販売の表示——が検討されたとした上で「他にも中食・外食のアレルギー表示でガイドライン等による対応も挙がった。
 また、1000件のパブリックコメントのほとんどが遺伝子組換えと添加物表示だった事から、消費者庁も検討する必要が出て、昨年秋の国会で遺伝子組換えに関する質問が多く出た事で今年4月に検討委員会を開催する準備に入っている。遺伝子組換えには、例外品目が多く、熱変成や醤油等の醗酵等製品では原料がGMか非GMが分からないのは例外規定を設ける。分析方に依存している事から、GM制度が始まって時間が経っているので、最新の分析方で混入が分かったら例外規定から外す事が決められた。またGMの意図せ 混入を5%から欧州並みの1%にする必要があるのか。消費者からはIPハンドリングで使っている商品は全て表示する様に要請があった。油脂を例にとると、油脂にも蛋白にも無いとの前提で、表示義務がないが、それにも表示する事になると、油脂を使った商品も表示の対象になり、ほとんどの商品がGM表示対象になってくる。新年度に遺伝子組換え表示に関する検討委員会が設置されるものと考えている。また、油脂関連で、溶剤抽出では、ヘキサン等は後に残らないから現在、表示義務はないが、添加物は来年中に検討対象にするかしないかが決定される」と語り、油脂業界には、パブリックコメントで大勢を占めた遺伝子組換え問題の再燃が懸念される事を示唆した。
 同氏は加工食品の原料原産地表示制度については「これはJAS法のルールであり、目的は品質である。加工食品品質表示により22食品群、個 の品質表示基準により四品目について、原料原産地表示が義務付けられる。これまで10回の検討会が行われ、原料原産地表示の目的はは安全性では無く、合理的な選択の為に消費者への正確な情報提供を行うものであって、表示により安全を担保するものではない。原産地表示の用件は、原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品としての品質に大きく反映されると一般に認識されている品目で、製品の原材料のうち、単一の農畜水産物の重量の割合が50%以上となっている。その後、平成28年3月31日の自民党骨太PT第三回の方針を経て、同年6月2日の閣議決定で、国内で製造した全ての加工食品を義務表示の対象として検討する事で合意し、実行可能な方策について検討を進める事が決まった。原料原産地表示制度の対象品目は、加工食品の22食品群プラス4品目(農産物漬物、野菜冷凍食品、うなぎ加工品及びかつお削りぶし)となっている。表示の方法は、国産原料にあっては〃国産〃である旨を、輸入原料にあっては〃原産国名〃を表示する。原産地が2カ国以上あるときは、割合の多い順に記載し、3つ以上ある場合は、三つ目以下を〃その他〃と表示する事が出来る」と語った。
  池戸名誉教授は、今後の加工食品の原料原産地表示制度の案について「義務表示の対象となるのは、全ての加工食品について、重量割合上位一位の原料の原産地を義務表示の対象とする。義務表示の方法は、国別重量順表示を原則とする。ただし、、国別重量順表示が難しい場合には、消費者の誤認を防止する為の方法を明確にした上で、例外の表示を認める。イチゴ味のキャラメル等の冠表示は、定義が不明確等により対象外とし、ガイドラインで対応する。例外表示の可能性表示では、国 重 順表示を行った場合に容器包装の変更が生じると見込まれる場合には、過去の実績を踏まえた表示を行う事が出来る。使用可能性のある複数国を使用が見込まれる重 割合の高いものから順に〃又は〃でつないで表示出来る。例えばポークソーセージの原料豚肉が、カナダとアメリカ産なら、カナダ又はアメリカと表示出来る。例外を認める条件としては、対象原材料の過去一定期間における国 使用実績又は使用計画からみて、国別重量順表示を行おうとした場合には、産地切り替えなどの度に容器包装の変更が生じ〃国別重量順表示〃が困難であると見込まれる場合に可能性表示を認める。ただし、消費者の誤認が生じないよう、過去の使用実績等に基づく表示である事を原産地の表示と共に容器包装に注意書きする。また、三つ以上の外国の産地表示に関して容器包装の変更が生じると見込まれる場合には〃大括り表示(輸入)〃を行う事が出来る。輸入品と国産を混合して使用する場合は、重量の割合の高いものから順に表示する」と語り講演を締括った。
  講演終了後に同協会運営委員の美和聡氏(昭和産業㈱油脂部油脂食材課長)がクロージングを行い「大豆・小麦の植物油蛋白は年々使用ステージが上がって来ている。当協会は植物蛋白の啓蒙活動も行っているので今回のセミナーで興味を持ってもらえば幸いだ」と挨拶を行った。
 
   動物性たん白質の摂取割合が
 二型糖尿病発症リスクに影響
 
   日本植物蛋白協会主催で2月14日に行われた技術セミナーで講演を行った日本医療栄養センターの井上正子所長は、「小麦たん白の整理機能」についても言及し、動物性たん白質の摂取割合が2型糖尿病発症リスクに影響を与えている事を示唆した。
 井上氏は特にその中で、「米ハーバード大学公衆衛生大学院の研究者らは、動物性たん白質と植物性たん白質の摂取割合が2型糖尿病発症リスクに影響を与えており、動物性が多い人ほどリスクが高くなっていたとする研究結 を発表した。研究では20万5802人のデータを解析。食事調査の結 から、総エネルギー摂取 に占める動物性たん白質と植物性たん白質割合を算出し、対象者を〃動物性が多い〃〃動物性が少ない〃両者が均等〃〃植物性が多い〃〃植物性が少ない〃の5グループに分類し、調査期間中の2型糖尿病発症率との関係を分析した(喫煙や肥満など、2型糖尿病のリスク要因となる要素は調整)。その結 、動物性が多い人は少ない人に比べ、発症リスクが1・13倍になっていたが、植物性が多い人は少ない人に比べ、0・91倍に低下していた。また、この分析結 を踏まえると、総エネルギー摂取 に占める動物性たん白質の5%を植物性に置き換える事で、発症リスクを0・77倍まで抑える可能性があるという」と語り、動物性蛋白の増 材等の植物性蛋白の部分代替に期待を示した。
 
 



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