不二製油グループ本社㈱
   4月から新中期経営計画スタート  
  清水社長が会見で概要説明 
 グローバル経営へ一層の変革を
     
   不二製油グループ本社㈱(大坂市北区・清水洋史社長)は2月23日、都内で「新中期経営計画説明会」を開催した。当日は、清水洋史社長〔写真左)が2017年度から2020年度までの4年間を対象期間とする新中期経営計画 「Towards a Further Leap 2020」の考え方などを述べるとともに、酒井幹夫CSO(最高戦略責任者)が基本戦略など、松本智樹CFOが財務戦略について説明した。
 4月からスタートする新中計は、従来のローリング方式を見直し、固定式の中期経営計画に変更。世界的に戦える経営体制・経営インフラ・財務体制の整備及び生産効率の向上を優先課題とし、2020年度目標を明確化した改革を確実に推し進めるもの。
 説明会で、清水社長は新中計の全体的な考え方について「社長になったのが2013年で、4年が経過する。口を開けば変革、変革と言ってきた。本当にできているのかということだが、グローバル経営に本当に変革するには10年ぐらいかかりそうだと思って始めている。最初の4年が経つわけだが、ここで変革の基盤ができてきた、あるいはできつつある。次の三年は成長の基盤を作ることと考えている。最後の三年で完成し、10年でグローバル経営の会社になっていると考えている。しかし、現在というのは過去の集積であって、過去が一番上手にやったのが現在であるわけで、現在を否定するというのは、それほど簡単なことではない。従って、相当な覚悟をもってやるんだが、ここでは不易流行という言葉を使いたい。いいところは残して、悪いところは変えていく。世の中の変化にあわせて変化をしていくというのが私の考える中計の骨子である。前中計『ルネサンス不二』では、ありたい姿2030、あるべき姿2020を設定。生活者の健康を支援するグローバル企業になりたいというのがありたい姿。あるべき姿はそのために、グローバルで競争優 を持っている会社になるんだということだ。ありたい姿と現状の延長線上に大きなギャップがある。このギャップをどう認識し、どう解決するかが中計の中身ということになる。前中計では不二製油グループ憲法を作り、ホールディング制にした。いわゆるグローバル経営の基礎を作るため。また、取締役会も随分変えている。結果的ではあるが、この四年で取締役は14人変わっている。このように不二製油は大きく変わっている」とさらなる変革の必要性を指摘した。
 清水社長は新中計の基本方針を
コアコンピタンスの強化
大豆事業の成長
機能性高付加価値事業の展開
コストダウンとグローバルスタンダードへの統一ーと示した上で、経営基盤の強化に関して「社長の仕事は変革と人材育成に尽きると思う。企業は人であり、人をどうやって作っていくかが私に課せられた大きな課題である。ダイバーシティの推進では、女性、国籍、年齢あるいはハンディキャップの方達を含めて、働きやすいシステム、制度、方法を会社が採用することこそが働き方改革の早道であると認識すべきである」などと説明した上で、「これまではプロダクトアウトの会社であった。これが時代に合っていたわけで、失われた25年の手前はプロダクトアウトが一番効率的であった。これからはソリューション型の会社でやっていく」と強調した。
 引き続き、酒井CSOが具体的な戦略について次のとおり説明した。
チョコレート用油脂とチョコレート、製菓製パン素材の事業拡大・発展。日本については設備の老朽化がかなり進んでいることから、安全・安心、品質などの から手を入れなければならない。先送りできないと考えている。また、チョコレートが好調に伸びているので、新規拠点を検討している。中国では、上海の近くに工場があるが、南の広州に第二工場を作る。乳化発酵の事業からスタートするが、複合的な提案ができるようなラインナップを揃える工場としたい。北米では、2015年の3月に新規の脱臭塔が完成したが、ノントランスの風を受けて、昨年の第44半期でフルキャパとなった。もう一つ、同様の規模の設備を考えている。南米については、ハラルド社が予算通りの成績。ただ、生産キャパが足りない局面も見られるので、現工場の再構築を進め、生産能力のアップを図る。
 業務用チョコレート販売数量で世界トップ三の企業を目指す。チョコレートメーカーで、油脂を自社で作っているのは当社だけ。この強みを活かしてチョコレートを伸ばしていきたい。世界で地 を占められる事業規模にしていきたい。中国、IMEA(インド、中近東、アフリカ)、北米を中心にチョコレートとチョコレート用油脂のサプライチェーンを考えて拡大を狙っていきたい。北米には油脂の設備があり、ブラジル、エクアドル、コロンビアではパーム油もとれ、カカオもとれる。ただ、価格が国際価格ではなく、カカオについてはガーナ、アイボリーコーストの品質に追いついていない。しかし、北米、南米、中米でサプライチェーンが組めれば、東南アジアやアフリカから運ぶフレート、日数、キャッシュフローなどを削減できるのではないかと考えている。北米、南米、中米で何としても一つのサプライチェーンマネジメントを組んでいきたい。一方、白紙に近いのがIMEAである。チョコレートの市場も大きく、伸び率も高い。新しいターゲットとし、ドバイに駐在員を二人置き、市場調査をしていきたい。
大豆事業の成長
  日本におけるUSS事業は、この1月ぐらいから、いい兆しが見え始めてきており、さらにドライブをかける。乳化発酵技術とUSSの組み合わせで新しい製品を世に出していく。これは、アメリカからも問い合わせが多い。フレキシタリアン(新ベジタリアン)が増える米国でUSS事業に参入したいと考えている。中国では高齢化がかなりのスピードで進んでいる。健康・栄養に関する製品も足りない。これまで、素材を売ってきたわけだが、一歩進めて素材をさらに加工した製品にトライしたい。
機能性高付加価値事業の展開
  多糖類事業は好調でキャパが足りない。日本の生産設備のキャパをアップしたい。安定化DHA/EPAについては、これの元となるコンクみたいな製品を作る拠点を日本とアメリカに作る。FST技術(不二の安定化技術)をベースとしており、これを使えば他の機能を持った素材も開発できる可能性が高い。そこに特化して、FST技術のさらなる応用を進めたい。多糖類については、大豆多糖類の生産キャパは一杯。しかし、地域によっては大豆以外の多糖類のニーズが高まっている。大豆以外の素材で開発、設備化を進めていきたい。
 このほか、サステナビリティの問題について酒井CSOは「パーム油は日本の市場の約半分近い を輸入しているが、北米と欧州ではサステナブルなパームであることが購入の条件となっている。日本と中国はまだまだ進んでいないが、昨今では小売業界からの問い合わせが多々きている。昨年の3月に『責任あるパーム油調達方針』を策定した。パームのトレーサビリティを進めている。2020年に100%の達成を目指したい。この先も課題があるわけで、そこで終わるのではなく、どんどんトレーサブルを進め、引いてはサステナブルといえる原料を使っていきたい」と強調した。
 



 日清オイリオグループ㈱