加工油脂各社
   原料安定と円高でコスト低減
   第3四半期も大幅増益に
 採算悪化傾向、ラウリン値上げ
     
   加工油脂各社の今第3四半期決算は、前年同期と比較した原料油脂相場の安値安定と為替の円高による原料調達コスト、ユーティリティコストの改善が大きく寄与し、各社とも大幅増益と好調な業績が続いている。主力原料のパーム油は、エルニーニョの影響を受けた減産で昨年後半以降、上昇傾向を示したが、期全 の原料コストとしては総じて落ち着いた動きに終始。16年(1〜12月平均)の精製パーム油輸入単価は前年同期と比べ14%安く仕上がっている。前期、マーガリン・ショートニングなど製品価格を値上げしたが、価格を堅持していることも好業績をフォローする一因となっている。
 一方で、原料油脂相場の高止まりに加え、為替が一気に円安に振れたことで、4月以降のコスト環境は予断を許さない状況に変わっている。とくに、ラウリン油脂の急騰は採算を圧迫しており、ヤシ油やパーム核油を使用するクリームなどの製品については、値上げに向かう可能性が強まっている。
 大手加工油脂各社の平成29年第3四半期(ミヨシ油脂は平成28年12月期)決算のうち、食品部門の収益は、カネカが売上高1110億円で前年同期比2%増、営業利益35億円で同42%増。ADEKAは売上高494億円で同7・5%増、営業利益17億円で同44%増。日油(ライフサイエンス事業=食品含む)は売上高195億円で同1%減、営業利益39億円で同22%増。ミヨシ油脂は売上高330億円で同1・5%増、営業利益10億円で同42%増。
 15年後半以降、主力のパーム油をはじめとする原料油脂相場が比較的安値安定で推移したことに加え、為替相場が円高に転じたことが原料コストの低減に大きく寄与した。財務省の輸入 関実績によると、2016年のパーム油価格は1〜12月平均で、精製パーム油がキロ当たり76円。前年同期の87円と比べ14%値下がりしている。為替は120円台から100円台前半まで円高が進んだ。
 このほか、前期実施した製品価格の値上げも少なからず収益の向上に貢献。今期ここまで、マーガリン・ショートニングなど主力製品については、それほど大きな下げには至っていない模様だ。
 一方で、コスト環境は第4四半期に入って一変している。いわゆる「トランプ相場」で昨年11月以降、為替が円安に転換。この円安が大きく影響し、加工油脂各社の採算は再び、厳しい状況に様変わりしつつある。マレーシアのパーム油相場が昨年11月後半に3,000リンギを突破し、約4年半ぶりの高値に上昇。ここにきて、生産回復見通しから3,000リンギ割れに値を下げたものの、当面 、4〜6月に関しては高値原料の使用となりそうで、コストを圧迫するとは確実。すでに急騰したヤシ油、パーム核油については、それを原料とするクリーム等の値上げが視野に入っている。今期については何とかこれまでの貯金で好決算となることは間違いないが、4月からの業況には暗雲が立ちこめている。
 ただ、マレーシア・パーム油が一時と比べ値を下げていることは明るい材料となる可能性がある。エルニーニョからの生産回復で先物相場は年央には2,500リンギまで下げるとの見方もあり、このまま思惑 りに下がれば新年度下期に向けては好材料。加工油脂にとって4〜9月の上期は、「とりあえず我慢のしどころで、需要期である下期でのコスト低減に期待したい」(加工油脂筋)としている。
 



米農務省(USDA)