加工油脂各社
   前期は原料コスト安定で増益も   
  ラウリン等急騰で採算悪化
 クリーム類値上げは着実に浸透
     
   加工油脂各社の平成29年3月期決算は、第3四半期(28年4月〜12月)までの原料安と円高を背景とするコスト改善が寄与し、各社とも大幅増益で終わった。パーム油をはじめとする原料油脂相場が前期と比べ値を下げたことに加え、為替もほぼ円高水準となったことがコスト低減に直結した。一方で、昨年後半から原料油脂価格が上昇し、為替も円安に振れたことから、今4〜6月の原料調達コストは一転して大幅に上昇。とくに、ラウリン油、海外乳製品急騰の影響は大きく、クリーム類の採算は大きく悪化している。各社とも価格改定に取り組み、収益の確保に努めている。
 大手加工油脂各社の3月期(ミヨシ油脂は28年12月期)決算のうち、食品部門の収益は、カネカが売上高1,473億1,200万円で前期比1・6%増、営業利益45億1,500万円で同20・5%増。ADEKAは売上高664億300万円で同8・6%増、営業利益22億3,600万円で同38・2%増。日油(ライフサイエンス事業=加工油脂含む)は売上高264億9,400万円で同1・0%減、営業利益62億800万円で同9・2%増。ミヨシ油脂は売上高330億5,900万円で同1・5%増、営業利益10億2,200万円で同42・0%増。なお、ミヨシ油脂の平成29年12月期第1四半期の食品事業は売上高78億4,900万円で前年同期比4・8%減、営業利益3億1,200万円で同24・8%増と好調を維持している。
 各社好決算となった最大要因は、主力原料のパーム油価格が低 安定していたこと。マレーシア、インドネシアが一昨年のエルニーニョの影響を受けて減産となったことから、16年後半から年初にかけて相場は上昇局 を迎えたが、年間を通してみると総じて安定した相場展開。これは輸入価格を見ると明らかで、16年1〜12月平均の精製パーム油輸入単価は前年と比べ14%の下落となった。大豆油・菜種油の国内価格も、製油メーカーの採算が好転したことから、比較的安値で仕入れられたものと見られる。
 一方で、昨年11月のトランプショック以降、為替が円安に振れたことに加え、原料油脂価格も上昇傾向に転じたことから、加工油脂各社の採算は前第4四半期以降、悪化傾向をたどっている。とくに厳しいのは、クリームの原料となるヤシ油、パーム核油の急騰と海外乳製品の高騰。このため、各社は今春からクリーム製品の値上げを実施。また、円安でパーム油、大豆油・菜種油等も前年と比べ上昇していることから、マーガリン・ショートングについても価格改定に動いており、この成否が今期序盤の業績を大きく左右することになる。マレーシア・パーム油は一時と比べ値を下げているが、生産回復にやや遅れが見え、底堅さも。大豆油・菜種油も原料相場がなお高止まりしており、思いのほか下値は限定されている。今4〜6月のコスト環境は前期と一転し、再び厳しい状況となっていることは間違いない。
 ラウリン油と海外乳製品の急騰を受けたクリーム類の値上げは、目標通りとはいかないまでも着実に浸透。また、マーガリン製品についても、コンパウンド品は徐々に実勢化に向かっている模様。
 



日油株式会社