DHA・EPA協議会
   第19回の公開セミナーを開催
  高崎福祉大の河原田氏
 糖尿病妊婦とn-3系油脂役割
   
   DHA・EPA協議会(東京都渋谷区日本水産油脂協会内・昌子有会長)と一般財団法人日本水産油脂協会(東京都渋谷区元代々木・平田芳明理事長)共催による第19回公開講演会「栄養素としてのDHA・EPAの機能と分子構造からの考察」が10月25日、東京・渋谷区のアイビーホール青学会館で開催された。
 当日は、「糖尿病妊婦における妊娠中の食事の重要性ーn-3系不飽和脂肪酸の役割ー」について、高崎健康福祉大学・健康福祉学部・健康栄養学科講師の河原田律子氏が、「医学論文の裏側」について、富山大学名誉教授・富川城南温泉第2病院の浜崎智仁氏が、「DHA(C22‥6n-3)の構造的意味と役割」をテーマに岐阜大学・工学部・名誉教授・岐阜大学フェローの吉田敏氏が、それぞれ講演を行った(吉田教授の講演内容は続報)。
 冒頭に主催者を代表して挨拶を行った池田副会長は、特にその中で「例年通り三人の先生に講演をお願いした。DHAは高齢者の認知機能の改善等で広く知られる様になって来ている。また、胎児期における人の一生に係わる影響等も注目されている。一般消費者には、マグロの完全養殖の商品が今年の11月から食卓に上がっている」などと語った。  引き続き講演を行った高崎健康福祉大学の河原田講師は、妊娠中の食事が子供に与える影響について「2010年に米国のTIME誌に掲載されたが、妊婦は受精して9カ月間でその子が糖尿病や肥満になる事が決まってしまう。この様な事が云われる前から、胎児期に栄養障害が起こると、将来色々な病気が起こる事が歴史的にも残っている。一つはオランダの大飢饉で、第2次世界大戦末期、ナチスドイツによる出入港禁止措置のためにオランダの一部の地域では厳しい食料難に陥った。食料配給は大人一人当たり1日700kCalにも満たないと云う悲惨な状況下で、多くの人々が餓死した。この時生まれた子供のその後の疫学調査では、この時期に生まれた低体重児は、成人後に肥満や糖尿病、高血圧を発症し易いと云う驚くべき事実が明らかになった」と語った。
 河原田氏は事例の二として中国の大躍進政策を挙げ「第二次大戦後、1958年から1961年までの間、毛沢東により〃大躍進政策〃が行われた。人民は多く製鉄所の建設や鉄の精練のため農業が行われず、食糧が不足し、少なくとも2000万人以上が餓死したとされている。また、その期間に妊娠期であった母親から生まれた子供の多くが成人後、統合失調症やパーソナル障害等を発症し問題となった」と語り、この件については「デビット・バーカー博士が胎児期の環境が成人してからの生活習慣病の発症に大きな影響を及ぼすと言う仮説を提唱した。出産後のマイナス生活習慣の負荷で、成人病が発生する〃三つ子の魂百まで〃と言うが、三歳までが子供の将来を決めてしまう」と語った。
 河原田氏は糖尿病妊婦における食事の重要性についても触れ「妊娠中に過栄養になったら、妊娠糖尿病を発症し易い。糖尿病患者は2002年に740万人いるが、これは1955年比で31・5倍に増えた事なる。女性の晩婚化も影響して、糖尿病妊婦の子供は胎児性巨大児や胎児奇形などの合併症になるリスクが高まる」と述べた上で、その改善法として「糖尿病の妊婦が子供に影響を与えない為にはインスリンの投与が必要になる。また、糖尿病食事療法の為の食品交換表を使って3食を均等に摂る必要がある。妊婦の高血糖が胎児に与える影響では、耐糖能障害があり心血管系疾患発症のリスクが高くなる。ラットの実験で、妊婦が魚油を摂ると、子供に有益なデータが出ることも判明している。子宮内が高血圧でも魚油の摂取で改善出来、EPAは糖尿病の指標となるHbA1c(ヘモグロビンA1C)の低下等タンパク質の糖化を改善する事が分かっている。加えて魚油(EPA)は胎児心臓のシグナル異常を改善する働きが判明している」と語り、当日講演のまとめとして「妊娠期の母親のEPA摂取は心臓のインスリンシグナルの障害、インスリンの抵抗性、慢性炎症を有意に改善した」と語り講演を締括った。
 



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