パーム油会議
   「持続可能なパーム油会議」開催  
  課題や方向性探り問題共有化
 サプライチェーン全体で協業必要
   
   2020年に向けたパーム油調達のあり方を考えるーーをテーマとした「持続可能なパーム油会議」(jaSPOC実行委員会主催・共同代表=イオン、日本生活協同組合連合会)が6日、都内で開催された。東京オリンピック・パラリンピック開催まであと3年を切ったいま、「この一年で明らかに、持続可能なパーム油の調達に向けた動きが進んできた」という共 認識の下、食品メーカー、日用品メーカー、流 の各代表が並んだパネルディスカッションでは、調達実現に向けた課題として「消費者も含め、なぜ、持続可能なパーム油が必要なのかといった問題意識の共有化、啓蒙の必要性」が挙げられ、実際問題として「これは一社だけで対応できるものではない。サプライヤー、メーカー、流 といったサプライチェーン全体で取り組むべき課題であり、協業、コラボレーションで対応すべき」との意見が多く聞かれた。
 当日は、直接の関わりを持つ製油メーカーや加工油脂メーカー、商社をはじめ、食品メーカーや日用品メーカー、流 など400人を超える関係者が参加。環境 ・社会 に配慮した持続可能な原材料の調達が世界的な潮流となる中、気候変動や森林破壊、人権問題など共 課題の解決に向けたスタート地点との認識の下、セッションやパネルディスカッションなどを じて、持続可能な調達の方向性を探った。
 午後のパネルディスカッションでは、ファシリテーターに三井物産油脂・主食事業部油脂事業室長の武藤直人氏を迎え、「2020年を目指したパーム油調達」ーーをテーマに、サプライチェーンなどに設置する八人のスピーカーが現状の取り組みや課題、その可能性について意見を交換した。
 武藤氏がまず、「持続可能な調達の難しさを感じておられると思う。ただ、この1〜2年で相当変わってきている。その動きに向かって、皆さんが一緒に取り組んでいけたら良いと考えている。持続可能性というのは社会、環境、そして経済と大きく三つの持続可能性であると認識。バリューチェーンに 置する我々だが、なかなかマレーシアやインドネシアで起きていること、とくに社会、環境に対するリスクを考えるという意識をなかなか持ちにくいというのも確かだ。しかしながら、日本にいる我々がそれを変えることができるのかという問いに対して、実は責任ある調達をすることによって徐々に変えることができる、非常に重要な影響を持つバリューチェーンの一端を担う我々であると認識している」と口火を切り、各スピーカーに現状と課題について意見を聞いた。
 不二製油グループ本社の山田瑶氏は、持続可能なパーム油調達の方針と、それに基づくさまざまな取り組みについて報告。マレーシアのサバ州で昨年1月から実施している「小規模農家支援プロジェクト」についての説明では、支援の進捗経過として「2017年の5月に、支援中の55の農家がRSPOの認証を取得した」と報告した上で、「農園の環境問題や人権問題を解決することが重要なことだが、なかなか一社だけの力では、全てのサプライチェーンを一気に改善することは難しい」との課題が示された。引き続き、味の素の井上公司氏が「昨年度、当社では3万5000トンのパーム油を使用。30%が日本、70%が海外である。パーム核油をその三分の一以上で使っており、海外ではタイや中南米など、なかなか認証油が手に入りにくいところがメイン。従って、トータルでの認証油使用は10%を切る状況だ」と現状を報告。さらに、課題について「一つは、問題の共有化が重要であると感じている。社内でもパーム油について知らない人間が多い。また、社会的、環境的、経済的と三つをバランスよく対応していくのは、骨が折れること。とくに経済的というのが相当に厳しい。なかなか一社だけでやれる話しではないと考えている」と述べた。
 花王の田中秀輝氏、サラヤの吉川慎一氏はともに自社での取り組みについて説明した上で、認証パーム油に関して、とくにパーム核油のプレミアムが非常に高い現状に触れた上で、吉川氏は「コストを商品に転嫁するには消費者に理解してもらうしかない」と強調。田中氏は「プレミアム価格が高く、どうしてそのような価格になっているのかわからない。透明化してもらう必要があるのではないか。こんなに高いプレミアムでは経済的に持続できるのか疑問だ。一方で、マレーシア政府が責任を持って対応するとしているMSPOには大きな期待を持っている」と語った。
 流通からは、イオンの椛島裕美枝氏、西友の和間久美恵氏、生協の二村睦子氏が現状の取り組みについて説明。椛島氏は「パーム油については2017年からのスタートで、今できていることは、パーム油に関してゴールを定めたこと。調達方針と合わせ、2020年までにやるんだというゴールを区切ったことが新しいことである。これから体制を整えて、具体的に取り組みを進めていくという段階。課題としては、社内においてもパーム油の何が問題か理解されていないことで、CO2やオラウータンにどうつながっているのか、問題がわかっていない。まず、どんな問題があるのか理解してもらうことが一番の課題」、日本の流通では取り組みが進んでいる西友の和間氏は「親会社のウォルマートが15年末までに、PB商品の全てに使用しているパーム油をグローバルでRSPOの原則に従った持続可能なものに切り替えるということを、企業のコミットメントとして掲げた。西友もその一員であることから、PB商品に使うパーム油を100%持続可能なものに切り替えるという目標を15年に達成した。課題としては、これを継続していくこと。ただ、現状のクレジット方式から、さらに一歩先に進むとなると、格段にハードルが上がる。認証油を使っていくには、やはり消費者に理解して買ってもらわなければならない。現在はコストというより投資という考えで 建ての予算で行っているが、さらに進めようとするならば消費者の理解とサプライチェーン全体での協業が必要ではないか」と強調した。
 二村氏は「2017年度中に食品のPB商品については100%B&C(ブックアンドクレーム=クレジット)にする、二つ目に18年度中にマス・バランス(MB=ミックス)を使用した商品の供給を開始すること。さらに2020年までにコープのPB商品は100%何らかの形で認証されたものにすることを目指している。課題としては、一企業での調達や商品生産は難しく、まず不可能であるということ。B&Cであれば可能であるとは思うが、それ以上に実際に認証された油だけを使おうとする場合は、私たちだけでは実現できない。また、消費者に対してどう伝え、どう理解してもらうのか。ここが本当に大きな課題であると感じている。やはり、パーム油の問題自体が日本では知られていないわけであり、ここを知ってもらうことが重要であると考えている」と述べた。
 各スピーカーの意見を受けて、武藤氏は今後に向けた大きな課題として「持続可能なパーム油の調達は一社ではできない」「パーム油に対する認識レベルを上げなければならい」のニ点に集約されたと総括。これを受けて、今後の取り組みとして山田氏は「油脂加工会社の立場から、さらに社会に向けて情報を発信していく」と強調。井上氏、田中氏らも「一社だけでの対応には限界があり、サプライチェーン全体でコラボレーションしていかなければならないのではないか」と声を揃えた。さらに、椛島氏は「協業して大きな仕組みで動いていければ」、和間氏は「小売りは消費者とのタッチポイント。リテールの強みを活かしたメッセージ、情報を発信できる立場であり、継続的に活動し、他のリテーラーと協力して消費者の認識を高めていきたい」と語った。
 
  場所:東京都渋谷区神宮前4の26の18、  
     原宿ピアザビル1F・2F(表参道ベーカリーcafe426  
  営業時間:11時〜19時  
  



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