不二製油グループ本社㈱
   上期売上高、営業利益過去最高に
  清水社長今後の方向性示す 
 植物性で社会貢献、世界をリード
   
   不二製油グループ本社㈱(大坂市北区・清水洋史社長)は10日、都内で「2017年度上期決算説明会」を開催した。当日は、清水洋史社長が今後の同社が目指すべき方向性などについて説明。松本智樹常務(CFO)が決算概要、酒井幹夫常務(CSO)が今期からスタートした中期経営計画の課題と戦略について報告した。
 今上期の連結業績は売上高が1,496億4,500万円で前年同期比5・9%増、営業利益は93億9,300万円で同2・2%増、経常利益は92億800万円で同1・7%増、四半期純利益は58億100万円で同5・7%減となった。「売上高、営業利益、経常利益は過去最高を更新。しかし、第1四半期で5億円の増益だったが、第2四半期では3億円の減益となり、累計で2億円の増益にとどまった」(松本常務)。
 説明会では、はじめに清水社長が中期経営計画の基本方針「コアコンピタンスの強化」の一つ「大豆事業の成長」に関連して「大豆事業の成長については、社会の中心課題になりつつある。国連のSDGsという概念が世の中に広まってきているが、不二製油は会社ができた時から、SDGsのようなことを考えてやってきた会社だと思う。SDGs、ESGについて、ESGは非財務的指標だと言われるが近い将来、ESGが良くできている会社でないと利益は確保できないであろうと考える。2050年には世界の人口が98億人になるといわれている。その時に一番足りなくなるのは動物性たん白であることは明白。それに代わるたん白をいかに供給するかが、世界の課題になる。自分たちの事業を見直してみると、実は大豆を50年もやってきたことに対しては、時代の中でリーディングカンパニーとして前を走れる中身を持っていると気づいた。創業時からの顧客貢献の精神=人のために働く、こういう精神をもって植物性原料(パーム、カカオ、大豆)による製品展開をする。そこで、『Plant Based Food Solutions』という英語を使いたい。不二製油は今までもプラントベースのオイルとプロテインでやってきた会社であるが、そういった認識はあまりなかった。改めてそれを定義した。ポイントはソリューション。社長に就任以来、もの作りだけでは価値にならないと言い続けてきた。やはり価値づくりをしなければならない。それは、顧客の問題を発見して、問題を解決してはじめてソリューションになるということ。その技術をプラント・ベースド・フードから持ってくる。当社は、公益社団法人で大豆たん白質研究振興財団を持っている。これは38年前にその前身を作り、以来、大学に寄付をし続けている。1,000件以上の論文が出ており、使ったお金は10億円以上になる。この38年間やった成 がこれから、恐らく世界の人たちの役に立つのではないかと思っている。現実にやってきたことが社会が前に進むのに非常に役に立つところにきている。ぜひ、世界の食品会社を引っ張っていきたいと考えている」と、同社が進むべき方向性を明確に示した。
 引き続き、上期決算概要について松本常務は「製菓製パン素材が主に南米の収益性改善で増益。大豆は高付加価値品の販売伸長で増益に貢献した。エリア では米州以外は減益。日本は営業利益52億円で3億円減。油脂、製菓製パンの減益を大豆事業の増益でカバー仕切れず減益。しかし、当初の計画からは大幅な増益。また、日本の中にはホールディングスの経費増加約4億円を含んでおり、事業収益力の部分では大きくは棄損していない。アジアの営業利益は23億円で2億円減。中国の大豆事業再構築に伴う減益を製菓製パン事業の増益でカバーできず減益。米州の営業利益は20億円で13億円の増益。米国のノントランス酸油脂の販売堅調、ブラジルの収益率向上が貢献。欧州の営業利益は1億円で4億円の減益。販売数 は大きく伸ばしたが、原料相場の上昇で減益となった。海外の営業利益は全体の44%」と総括した。
  営業利益分析では、増益要因が拡販要因で6億円(北米のノントランス酸油脂の数量増、中国のフィリング・マーガリンの数量増、大豆の高付加価値品の増加が寄与)、単価要因等で9億円(ブラジルでの原価低減効 の一方、油脂原料、乳製品の価格上昇はマイナス要因)、為替で1億円。一方、減益要因は固定費で11億円(本社施策関連経費、減価償却費等)、連結調整で2億円。差し引き2億円の営業増益。
 通期の連結業績見通しは売上高3,090億円で前期比5・6%増、営業利益200億円で同1・6%増、経常利益194億円で同1・6%減、当期純利益125億円で同3・3%増を見込む。松本常務は「営業利益は200億円の予想。上期は85億円の当初計画から94億円と9億円の増益も、反対に下期は106億円の予想で当初計画の115億円から9億円の減少。これは、足下の海外の状況と国内の消費動向を勘案したもの」と説明した。
 エリア の営業利益予想は、日本が116億円(上期52億円、下期64億円)で前期比7億円減。大豆事業が高付加価値品の販売伸長で当初より増益を見込むも、原価上昇によるクリームの収益率低下などで乳化発酵製品が減益予想。ただ、本社経費が下期も発生することからすると、その部分を除くとほほ前期並み。アジアの営業利益は47億円(上期23億円、下期24億円)で同3億円増。ほぼ計画 りを見込む。米州は33億円(上期20億円、下期14億円)で同11億円増。当初計画の27億円からも増加を見込む。上期で大幅増益となったが、下期は前年並みの予想。欧州は6億円(上期1億円、下期5億円)で同3億円減。下期は当初予想並みも上期の減益をカバーできず。
主要原料の国際相場の見通しについては次のとおり。
乳製品  とくにバターの国際相場は史上最高値を更新し続けているが、酪農家のモチベーションが高く、生乳供給 は増加傾向。17年末から18年にかけては下落基調になるものと予想。
パーム核油 値上がりしており、採算の悪化を招いた。欧州のオレオケミカル需要が堅調に推移する一方、マレーシアの在庫の状況から、今後も引き続き高値圏での推移を予想。パーム油は、パーム核油に比較して落ち着いてはいるが、マレーシアの在庫状況から一段の下落はなく、底堅いものと予測。
大  豆 低 安定も、米国産大豆の豊作は織り込み済みで、さらに大きく下がることはない。
カカオ 大きく値を下げている。安値となっていることから摩砕 は増加傾向にあるが、一方で実需の手当は1年先ぐらいまで進んでいるだろうと見込まれ、ここから急激に上がっていくことはないだろう
 期のセグメント 予想は次のとおり。
油  脂 営業利益65億円(上期29億円、下期37億円)。上期は6億円の減益も下期で8億円増を見込み、前期比1億円の増益予想で当初計画並み。下期改善については、パーム核油上昇の影響が一巡し、アジア、欧州で増益を確保。米国での増益が上乗せ、日本は前年並みを見込む。
製菓製
パン素材
営業利益112億円(上期49億円、下期61億円)。上期は5億円の増益、下期はほぼ前年並み、前期比6億円増で計画からは6億円減。下期について日本は前年並み、アジアは中国での販売は引き続き好調ながら、乳製品価格上昇で採算悪化。一方、東南アジアの調製品、チョコレート事業でカバーし、アジア全体では若干の増益。しかしながら、南米でのチョコレート市場の環境はかなり厳しく、足下の状況から見て4億円の減益を見込んでいる。ブラジルは第1四半期は非常に良かったが、通期で見ると当初計画並みで織り込んでいる。
大  豆 営業利益23億円(上期16億円、下期8億円)。上期は3億円増、下期6億円減。前期比4億円減も当初計画は7億円上回る予想。下期は日本、中国ともに前年割れを見込む。高付加価値品の拡販は順調も、更新投資によって設備稼働が一時ストップすることなどを織り込んでいる。
 



マレー・パーム油需給