雪印メグミルク㈱
   部分水素添加油脂の不使用決める
  家庭用マーガリン等全商品で
 独自技術で変わらず美味しさ実現
   
   雪印メグミルク㈱(東京都新宿区・西尾啓治社長)は、家庭用のマーガリン類・ショートニングすべての商品について、トランス脂肪酸を多く含む「部分水素添加油脂」の不使用を宣言した。一日、都内のホテルで開催した春季新商品発表会で明らかにしたもの。同社はこれまでも、トランス脂肪酸の低減を進めてきたが、今年の6月、米国で新たな規制が始まることから、もう1段踏み込んだ取り組みが必要と判断。独自の乳化技術と結晶化制御技術などを駆使し、「これまでと変わら 風味の良さ、塗りやすさを実現」(同社・乳食品事業部)した。他社も同様の動きを見せており、こうした流れが家庭用マーガリン市場の縮小に歯止めがかかるのかどうか、大きな注目が集まっている。
 15年6月、米国が「トランス脂肪酸を多く含む部分水素添加油脂をGRAS(従来から使われており、安全が確認されている物質)の対象から外す」(FDA=米国食品医薬品局)と発表した。日本でも大きく報道されたことから、トランス脂肪酸に対するネガティブイメージが増幅され、「その代表例として注目の集まったマーガリン類の需要減退にさらに拍車がかかる格好となった」(同)。日本人のトランス脂肪酸摂取 は欧米と比べ少ないとはいえ、消費者のマーガリン購入量は明らかに減少しており、業界として何らかの対応が求められていたことは確かである。
 同社の調査によると、消費者のマーガリン購入意向は、13年11月調査では「買いたい」の32・9%対して、「あまり買いたくない」15・7%、「買いたくない」14・6%だった。しかしながら、16年11月調査では、「買いたい」が24・0%と約9ポイントダウン、「あまり買いたくない」21・9%、「買いたくない」17・8%と、こちらは逆に合わせて約9ポイントのアップとなっている。「買いたくない理由」については、「健康によくないから」が63%、「トランス脂肪酸が含まれるから」が61%と、「添加物が含まれるから」など他の理由を圧倒。トランス脂肪酸への拒否感の強さが改めて浮き彫りとなっている。
 同社はそこで、「お客様にもう一度、安心してマーガリン類を召し上がっていただきたい」とし、今回、「部分水素添加油脂の不使用」に踏み切ったもの。米国が今年6月、15年6月のFDA発表から3年の猶予期間を経て、いよいよ「例外を除き、部分水素添加油脂の食品への使用禁止」を実施することも「今回の決断の大きな契機となった」(同)と強調する。
 一方、同社によると、部分水素添加油脂不使用は簡単なことではなく、減らせばトランス脂肪酸は当然低減されるが、逆に「風味の良さ」や「塗りやすさ」が損なわれる。また、他の固形脂を使用した場合は、飽和脂肪酸の増加という の課題も抱え、飽和脂肪酸が増えれば「お客様の求めるコレステロール0の表示ができなくなる」という問題点が出てくる。そこで、同社では独自の「乳化技術」で風味の良さ、「結晶化制御技術」で塗りやすさを、また、油脂加工技術と油脂配合技術による新規原料油脂の使用によって、飽和脂肪酸の低減によるコレステロール0も実現した。
 家庭用マーガリン市場は今期もここまで重 ベースで前年同期比90%台前半と苦戦。トランス脂肪酸問題で離れた消費者を取り戻せない状況が長く続いている。今回の同社の取り組み、また、他社も同様の動きを見せる中、低迷するマーケットを活性化することができるのか、注目されるところ。「縮小傾向に歯止めをかけ、離れた消費者を少しでも引き戻したい」(同)と意欲を見せている。
 


 竹本油脂㈱