ごま油工・胡麻加工組合
   合同賀礼会で三菱・大川氏講演
 食のメガトレンドについて説明
   
   (続報)日本ごま油工業会と全国胡麻加工組合、油糧輸出入協議会による合同賀礼会が1月26日、都内のホテルで開催された。
 当日は、三菱商事生活原料本部01am事業部胡麻チーム・MCアグリアライアンス胡麻事業部の大川晴氏が「ごま需給の動向と消費トレンド」をテーマに、食のメガトレンドについて次のとおり講演を行った。
一、 需要に関して、今後のトレンドを踏まえていくことが相場や商品形態を考えていく上で非常に重要である。一つ目のトピックスとして、消費者の動向が今後どうなるのか。世界の消費者が量と質の両面で見た時、どう変化していくのか。世界人口は2050年の100億人に向かって増加。50年にはその85%を新興国の人口が占めるという統計を国連が発表している。すなわち、世界的にパイが増える、消費者の数が増えるということ。その中で、どの層が消費の中心になってくのかというと、ミレニアム世代=主に1980年生まれから2000年生まれまでの世代が今後、消費の中心となっていくというデータが出ている。では、このミレニアム世代がどういった消費トレンドを描くのかが注目されるところ。
一、 ミレニアム世代を紐解く上で重要な三つのキーワードは、一つはデジタル武装。今までとは違い、スマートフォンなどでいつでもアクセスできる環境にある。結果的にフェイスブックやツイッター等でいつでも情報を書き込める。つまり、消費者の発信力が増えるということ。次に価値観の多様化・高度化。例えば、アマゾン等を思い浮かべると、元々、スーパーやコンビニなどに行き、そこに陳列されていたものから選んで買うという時代が長く続いてきた。これからは、すべてインターネット上でショッピングを済ませることができる。これは、ただのモノの消費ということではなく、モノに何か価値観が付随している、付加価値がついている、こうしたことが一つの価値基準になってくるということで、モノ消費からコト消費となってくると見ている。さらに、エシカル志向が挙げられる。社会課題解決への関心がアップ、モノ消費からコト消費の時代が到来する中、人は社会的欲求というフェーズまで発展してきている。社会問題の解決に根差したプロダクトを好む傾向になってきている。つまり、昨今感じているのは個人へのパワーシフトということで、今までは大量生産・大量消費、安かろう悪かろうの世界であったかもしれないが、これからは消費者が自ら情報を発信し、サービス、ニーズの起点となり、社会問題解決の担い手として生活をしていくということで、今後ますます消費者との付き合い方に工夫が必要となってくるものと思われる。
一、 これからは、1980年生まれ以降を境に、まったく違った価値観の消費者が急増するということに対して、企業側のアクションの一例として、ネスレ社のブルーボトルコーヒーの買収を挙げたい。ネスレは昨年、約470億円を投じてブルーボトルコーヒーを買収。わずか40店舗しかないブルーボトルコーヒーをネスレが買収したということで、非常に大きなニュースとなった。ネスレの狙いは何か。ブルーボトルコーヒーは、原料にこだわり、フェアトレード等を通じて農家の価値をお客様に伝えるというマーケティング手法をとっている。手作り感であったり、原料のストーリーを大切にしている、それをダイレクトにお客様に伝える工夫をしている。その会社を大 生産・大 消費に根差していたネスレ社が買収したということは、また新しいトレンドが生まれてきているということの1例である。二つ目の例としてMARS社のKIND社買収を挙げたい。昨年、4000億円を投じて買収した。MARS社はm&msやスニッカーズ等を生産、その会社が栄養価の高いヘルシースナック、完全天然由来にこだわって生産している会社を買収した。どういうことかというと、糖質中心の甘いお菓子を作っていた時代から、栄養価の高いヘルシースナックにトレンドが徐々に移ってきている。それが、さらに大きな規模、会社単 で動いてきているということである。
一、 共通項としては、社会的問題の解決ということに二つの例とも根差しているものと分析。ブルーボトルコーヒーに関しては、フェアトレードを じてアフリカの貧困の問題の是正をする。KINDについては米国の健康問題、肥満の解消を目指している。ただ単に、大 生産・大 消費をする、利益追求型ではなく、利益を追求しながらも社会的問題を解決していくというフェーズに移ってきているという例である。
一、 以上、二つのケースをもとにして言えることは、伝統的な競争軸からの転換がいま起こっている。今までは消費と社会貢献は 物と考えられてきた時代が長く続いてきたが、現在において消費と社会問題は表裏一体で、消費をしながらも社会問題の解決をしていくという消費者が急増しているという事実がある。また、資本市場の変化では、今までの企業・会社にとって、短期的な利益の追求を長らく続けてきた背景があったが、これからは企業が主体となって社会問題を解決していく、自らメッセージを発していく時代になってきている。さらに、これからはNGOとの付き合いに関しても一つのキーポイントとなってくるというのが世界的な見方である。今までNGOと企業は対立の構図であったが、これからは協力して社会問題を解決していこうという構図に変わっている。
一、 これまでの競争軸は品質、価格、機能の三つを兼ね備えたものにサービスが付随して、良いプロダクトであったという時代。これからは、社会的大義、サプライチェーン、そのものに関するストーリーを消費者に伝えていく、それによって競争が新たに始まるという分析を行っている。これからは、三価値同時実現の時代となる。1980年代までは経済価値を追い求める時代が長く続いてきた。ただ、その傍らで環境問題や公害が発生したのも事実だ。一方、2000年代までに保護の時代がやってきた。これからは、三価値同時実現の時代として、利益を追求しながらもそれが社会問題解決につながるというような、全く新しい考え方、新しい企業、消費者のトレンドが発生してくるのではないかという仮説を立てている。2018年は三価値同時実現時代への元年であると考えている。


 国産原料油脂