日本植物油協会
   パーム油認証に関し協会の見解
  定例会見で齊藤専務が説明
 MSPOなど多様な選択余地必要
   
   日本植物油協会(東京都中央区・今村隆郎会長)は22日、東京・日本橋の同協会会議室で定例の記者会見を行い、齊藤昭専務理事が2月度理事会の概要などについて報告した。
 その中で、齊藤専務は、今年4月、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、パーム油の「持続可能性に配慮した調達コード」が策定される予定となっていることに対し、改めて「パーム油認証」に関する協会としての見解を次のとおり説明した。
 パーム油の認証を検討する場合、①サステナブルを確保すべき基準が確保されること②その基準を守っていることを証明する客観的評定がなされること③認証運用にあたっての実行可能性が担保されること④認証に伴う負担が公正で適正であることが確認されることーーが必要である。
の基準に関して
大きくは環境、労働の二つの面で一定以上の基準が確保される必要がある。とくに問題となる人権保護に関して、供給国の労働者の労働環境・安全性・給与収入の保護・コンプライアンスに反しない雇用契約などは国際CSR基準で求められているように当然の選定基準となる。RSPOは、欧州でデファクトスタンダードとなっているが、サステナブルの道を切り開いてきた意味で、先駆的システムであり、その基準も一定のレベルを達成していると評価。一方、現段階では、(マレーシア政府の)MSPOも国の法律にてパーム油の生産活動をルール化して法令遵守を求めていることからすれば、否認するような瑕疵はない。
 RSPOとMSPOとの差は、前者が会員制で、他に選択のない場合は当該農園に関しては一定の有効性を有するものの、自らの内部ルールで一定の線引きをして対応する静態的な認証システムであり、国全体を包括する環境保護に直接連動しない。一方、MSPOはアジア農業の特性を踏まえつつ、一定の目標に全員を達成させようとする動態的なシステムとして構成されていることからすれば、国全体の環境保護を目指す、優れて、現実的かつ広域的なものである。
基準を守っているとの客観的評定について
RSPOについては、オーディターと称する者による検証がなされるとされる、各種NGOがサポートしており、その評定基準は厳しいとされるが、基本は民間での調査である。1方、MSPOの基準については、義務化の方向性が示されていることから、現地も緊張感を持っており、査察は政府が社会的公正な観点から検証されることになるが、査察自体は政府から指定(認可)された民間の業者が実施するとみられる。なお、今回の検討会において一部に、環境対応において、生産国政府が不正に関与しているかのような発言があったが、生産国政府はこれを明確に否定していることからすれば、これを理由にした排除は、当該政府に対する侮辱となりかねないことに留意する必要がある。
実行可能性について
 
RSPOは、すでに西欧諸国を中心に実績を有しているが、MSPOも次年度から具体的に認証発行を可能としている。また、流 については、いずれのサステナブル制度の油でも、各供給国から船積み時に証明書を入手し、海上輸送の物流管理を行えば、輸入 関通までの物流管理を確認できる。輸入 関の後は、メーカーから流 ・販売店まで、すでにある非遺伝子組み換え原料と同じで、システムを業界にて踏襲することによって、サステナブル・パーム油の国内の物流管理を問題なく行うことができる。輸入原料の物流管理のルールとして、遺伝子組み換え食品の管理規制があるが、これは日本政府主導で構築されたもので、過去15年以上の実績がある。サステナブルなパーム油であることを日本の需要家や消費者に表明して、その価値をブランドとして販売するためには、輸入 関時からのIPの管理を行い、各流 段階にて管理が続いていることを確認する書類が必要になる。MSPO・(インドネシア政府の)ISPO・RSPOのいずれの証明書の場合でも、日本の国内の管理は、日本の法律に合った形で行うことで、不正な表示や物流を行った認証油に対して(消費者に不正なものが売られた場合に)、罰則も適用され、より一層、厳正なものになる。 なお、RSPOは、第一回の説明においてRSPOの「ブック&クレーム」(クレジット方式)を推奨したが、本制度は、末端ユーザーがプレミアムをダイレクトに支払うことは、プレミアムコストを適正に負担していただくという意味では有効であると考えられる。ただし、この場合、パーム油は輸入通関時のロットに対応した産地からの物流チェーンや輸入 関時の確認ができないため、その後の国内物流管理において、課題が存在することには留意する必要がある。
認証に伴う負担が公正で適正であることが確認されることについて認証に伴う負担が公正で適正であることが確認されることについて
  一般に、負担能力のある農園を選別して輸入するIP流通を典型とするようなネットワーク構築型の流通システムは、厳密に点を結ぶ必要から、社会的コストアップとならざるを得ないが、これを公共行政当局が で抑えれば、会員制システムではなく、市場価格形成システムであることもあり、社会的コストが大幅に削減されることが期待される。認証に伴うコスト負担が公正で適正であるかどうかは、認証を推奨する場合に重要な論点となるが、これまでの検討委員会の場において、RSPOはブランドであり、説明する必要はないとしている。こうした状況下、日本として当該認証を推奨することになれば、不透明な独占価格を許すことになりかねない危惧があり、この状態のまま、適正な説明のないまま認証すれば、消費者等に対する説明責任が問われることになることが危惧される。
 齊藤専務はこうした植物油協会の見解を改めて明らかにした上で、「各認証が切磋琢磨して、よりよい基準となりうることを、さらに、わが国、消費者、購買者に多様な選択権の余地を与えることになることなどを総合勘案し、推奨認証としてRSPOに加え、MSPO等も明示的に組み込むべきと考えている」と強調した。


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