日本植物蛋白食品協会
   技術セミナーで杉田氏が講演
  食品安全管理の国際標準化
 伊藤氏はハラール認証について
   
   日本植物蛋白食品協会(東京都港区・久野貴久会長)は20日、東京・日本橋兜町の製粉会館において、恒例となっている「日本植物蛋白食品協会技術セミナー」を開催した。当日は講演一で農水省食料産業局食品製造課の杉田敬一課長補佐が「食品安全管理の国際標準化」、講演二ではNPO法人日本ハラール協会の伊藤健理事が「ハラール認証とは何か〜認証に期待する効 とは〜」――をテーマに講演を行った。
 冒頭に同協会の山田真也技術部会長(昭和産業㈱生産技術部油脂技術グループ課長)が開会の挨拶を行い、特にその中で「当協会は、植物性たん白の高度利用や普及推進を役割としており、その中で技術部会は普及に関する事業として、会員企業の皆様に技術セミナーを じて情報発信を行っている。今回は11回目を迎えるが、植物たん白だけでなく、その周辺分野として食品の国際認証、ハラール認証に関するテーマを企画した。食品産業を取り巻く環境のグローバル化や多様化の中で、国際間でなされる相互認証やルールをいま一度、整理することが当協会の普及活動として意義のある取り組みと考えた」と、今回のセミナーの企画意図について説明した。
 引き続き、農水省食料産業局食品製造課の杉田敬一課長補佐が登壇し、「食品安全管理の国際標準化」について講演した。 杉田課長補佐は、過去十数年にわたる食品関係に関する事故や事件などを振り返った上で、食品についての「安全」と「安心」の関係について「安全というのは、その時点で客観的に最善の科学による評価・決定がなされ、行政や食品事業者等の誠実な姿勢と真剣な取り組み、さらには消費者への十分な情報提供が信頼を生む。それが、主観的に消費者の心理的な判断として安心となる」と定義し、行政側も過去の事故・事件を踏まえ、食品安全委員会や農水省には消費安全局を設置して食品の安全・安心に取り組んでいると述べた。
 杉田課長補佐は、食品産業をめぐる状況について、「食品事業のグローバル化が進展する中、食品安全が世界共 の課題になっている。各国の食品安全規制もHACCP義務化の流れが欧米以外にも拡大しつつある中、日本もHACCPの制度化を検討中である。民間取引においても、食品安全管理の標準化、取引相手の選定において、経験ではなく、科学的アプローチによる基準への適合・認証を求める流れが強くなっている」との認識を示し、「国内の農産物などの市場が海外に拡大し、小売や製造のグローバル化が進む中、規格・認証の重要性が増大している」と強調した。
 杉田課長補佐はさらに、GFSI(Global Food Safety Initiatve=世界食品安全イニシアティブ)食品安全認証スキーム承認の仕組みを説明。その上で、日本の食料産業への評価向上、輸出促進の環境整備、世界の食品安全の向上と和食の普及への貢献など、今後の食料産業の競争力強化のために「日本発の食品マネジメントに関する規格・認証スキームの構築が必要と考え、『一般財団法人 食品安全マネジメント協会(JFSMA)』を2016年1月に設立し、JFS規格(日本発の食品安全管理規格)を立ち上げた」ことを紹介した。
 JFSMAは今後、GFSI承認申請を行うために、JFS規格認証等の実績を増やす必要があるとし、各カテゴリーの普及に向けた取り組みを推進中。承認申請条件を満たしたものから、随時、承認申請を行っていくとしている。杉田課長補佐は「JFS規格はA規格=1 衛生管理中心、B規格=HACCPの実施含む、C規格=A、B含め国際取引に使われる――と、中小事業者さんにとっても取り組みやすい段階的な仕組みとなっており、国際標準と共 する部分と現場や食文化に即したガイドラインの整備、例えば生食・発酵食品を含めた日本の独特な食品等(惣菜の管理や味噌の管理など)の安全な取扱方法を科学的根拠をベースとして説明するなど、日本発の特徴を兼ね備えている」と説明した上で、2017年度以降の展開として「JFSの信頼性、使い勝手向上のため、研修コース承認の仕組みやガイドラインを策定。また、他のセクターへの拡大を図る、また、国際標準との調和や海外とのつながりを強化。さらに、教育、資格の体系化や研修期間、大学等の連携など人材育成体制を構築していきたい」と、今後の取り組みの方針などについて説明した。
 引き続き、日本ハラール協会の伊藤健理事が「ハラール認証とは何か〜認証に期待する効 とは〜」について講演。伊藤理事は「イスラム教徒の世界人口が2014年度で約20億人と増加傾向にあり、さらに非イスラム国でのハラール産業規模もインド1・5億人、中国4000万人、米国800万人、フィリピン600万人、フランス600万人、ドイツ300万人、英国150万人、カナダ80万人などとなっている。日本はこれまで、内需が主導で輸出マーケット、とくにハラールに関しては、どうしたらよいのか悩んでいる方々が多い。しかしながら、今後は東京オリンピック・パラリンピックを控え、海外からの観光客もさらに増えることが予想され、ハラール市場も拡大する可能性が高い。輸出市場も有望ではないか」とした上で、ハラールの内容などについて詳細に説明した。,  セミナーは最後、同協会の谷剛運営委員長(日清オイリオグループ大豆蛋白営業部長)が「日本は少子高齢化の中で、海外の旅行客が増加し、そこにおけるマーケットの拡大が期待されている。また、日本食が世界各国で支持され、日本の食品の海外進出もますます期待されているところだ。日本を含めた世界の消費者の信頼を得ること、並びに大きなマーケットであるハラール市場に対応することは、食品業界にとっては今後、大きな魅力ある市場となっていくものと考えている。こうした中、本日、食品安全管理の国際標準化という視点で、各種の認証制度についてご説明をいただいた。また、ハラール認証について、ルールやその内容だけでなく、マーケティングの視点からもご教示いただいた。今日学んだことを活かし、我々としてもさらに活気あるマーケットにつなげていければ良いと考えている」と閉会の挨拶を行った。
 


 昭和産業㈱