(株)カネカ
   酪農から乳製品販売まで一貫体制
  乳製品事業参入で記者会見 
 ヨーグルトなど含め5年後200億円を
   
 
乳製品事業説明する天知常務
 ㈱カネカ(東京都港区・角倉護社長)は5日、東京・港区の東京本社で記者会見し、乳製品事業参入について説明した。 はじめに、天知秀介取締役常務執行役員は「当社は昨年の4月、経営体制を刷新した。『モノからコトへ』ということはこの数年言われているが、カネカとしても素材売りのビジネススタイルから脱却し、ソリューション型のビジネススタイルに変えていこうということ。その変革を じてカネカ自身を成長、発展させていこうという方針だ。今回の乳製品事業の参入はまさに、ソリューション型のビジネスを構築するという、経営体制刷新の一つの代表的な例ということになる。カネカは食品業界の中で川上、川中、川下と分けると、川中に 置する。今回、川上、川下の課題についてソリューションを提供しようという思いで、乳製品事業に参入することを決意した」と、その経緯を明らかにした。
 引き続き、榎潤常務執行役員Foods & Agris Solutions Vehicle事業部長が乳製品事業について説明。榎事業部長は、旧食品事業部であるFoods & Agrisについて「ベーカリーや菓子を中心に業務用の食品素材を提供。マーガリンとイーストの両方を持っているのは世界でもカネカしかない。このほか、フィリングやホイップクリームなど新しい機能素材も展開。大きく言うと油の加工と酵母=発酵技術の2つを軸に展開してきた」とした上で、「昨年4月に『カネカ北海道』という地域統括会社を設立した。これはFoods & Agrisだけでなく、カネカ全体の事業を統括する。北海道の経済を活性化させていこうということで、さまざまな事業を展開。Foods & Agrisとしても従来からパンや菓子向けに北海道でも素材を提供してきたが、今回、さらに農業分野・酪農分野に参入し、そこからさらに北海道ブランドで全国に展開していきたい」と、改めて参入の経緯などを説明した。
榎事業部長
 榎事業部長は、今回の乳製品事業について「一つのポイントは酪農から乳製品の生産販売まで一貫した乳製品事業を新規に展開したいということ。単に乳製品を作るということ=原乳を調達してきて乳製品を作って売るという仕事ではなく、酪農業から一貫した事業、サプライチェーンを作ろうということである。原料の生乳は北海道の酪農家から調達する。もう一つのポイントは、ベルギーの乳製品メーカーであるPur Natur社との技術提携をベースに、欧州の技術を持ち込んで北海道の生乳を使って、今までにない、国内にはない品質を実現するということである。ステージとしてはこの4月、すでに牛乳(商品名・パン好きの牛乳)を首都圏・関西圏のベーカリーを中心に約200店舗で発売した。バターは5月から、ベーカリー・菓子顧客向けの業務用からスタートする考えだ。さらに、サプリメント事業の中の乳酸菌などの技術も組み合わせて、新規にヨーグルト事業など乳製品のラインナップを増やしていき、5年後には200億円規模を目指していきたい」と強調した。
 また、榎事業部長は「乳製品事業の展開においては酪農家とともに魅力ある酪農業というものを議論し、考えていきたい。持続可能な酪農を推進することを事業の理念とし、酪農経営をサポートしていく。また、Pur Natur社はベルギーで有機の乳製品を中心に展開しており、我々もその出会いの中で、酪農家を視察し、いろいろ勉強させてもらった。有機酪農は、循環型の酪農経営の理想形と考えており、彼らが契約する欧州の酪農家たちの知見や国内の関係研究機関とも連携し、いまはまだ小さい市場である国内の有機乳製品市場の拡大にも取り組んでいきたい」と将来的な有機酪農への進出を示唆した。
 具体的な事業展開に関しては、「今回の牛乳は、我々としては初めてBtoBtoCの商品になる。最終商品で直接訴求していく商品となる。川下まで出ていく仕事になる。一方で、離農や後継者不足で酪農業界は少し後退していっている感じがする。このままでは、どんどん自給率が低下していってしまうということもあり、魅力ある酪農業、酪農経営というものを民間企業の立場で考えていきたい。一つは『One Health(ワンヘルス)』の実現。健康な乳牛から高品質の生乳を生み出し、そこから製品を作る。そして、環境。環境にやさしい酪農経営で人間の健康に貢献する。人間、動物、環境を1体の健康と考え、実現していきたいというのが志である」とし、サプライチェーンについては「北海道の酪農家から牛乳を調達し、酪農を支援していこうということで、生産性向上に向け、カネカの総合力を使って生産性を上げ、職場環境を改善し、環境にやさしい酪農経営に変えていきたい。こうしたことを酪農家さんと一緒にやっていきたい。技術的にはPur Natur社の製造技術を導入し、牛乳からスタートし、5月から発酵バター、そしてヨーグルト、チーズ等に拡大していきたい。発酵バターに関しては、ヨーロッパの高級な発酵バターの味・風味を国内で再現していこうと考えている。まずは、酪農家さんにとって、一キロの生乳が今までより価値の高いものに持っていくために、我々が企業として技術アプローチをやっていきたいと思っている」と意欲を示した。
 バターについては現状、恵庭に小さなプラントを設置(自社小規模プラント=生乳処理 4,000トン/年)。榎事業部長は「できるだけ早く、北海道において乳製品製造工場を建設したい」と強調した。
 


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