シカゴ大豆相場
 米中貿易戦争が圧迫し急落に
  中国の大豆需要減退を懸念
 生育も良好で9ドル割れ必至か
   シカゴ大豆相場が下げ足を早めている。米中貿易摩擦が全面戦争の様相を呈したため。米トランプ政権は現地15日、知的財産権の侵害に対抗するため、制裁関税を発動すると発表。中国も報復関税を課すと応じた。これを受けて、当日の先物市場は急落。7月きりは21・75セント安の905・50セントまで値を下げ、9ドル割れが目前に迫ってきた。米中貿易戦争によって、世界最大の大豆輸入国である中国における米国産大豆の買いは減退する見通しが強まった。米産地は良好な天候で生育も順調に推移しており、シカゴ大豆相場は目先、「いったん9ドルを割り込むことは確実」(製油筋)な情勢となってきた。
 対中制裁関税は7月に発動。米国は、ハイテク製品を中心に1102品目の中国からの輸入品500億ドル(約5兆5000億円)に25%の追加関税を課す。このうち、818品目、340億ドル分は7月6日から適用。残る160億ドル分は今後検討するという。
 中国側はこれに対し、大豆や航空機など同規模の米国産品に報復関税を課すと表明。16日には、総額500億ドルの659品目に対して25%の関税を上乗せすることを正式に決めた。まさに「貿易戦争」の様相を色濃くしており、トランプ政権は、中国が米産品に報復すれば追加関税を課すと表明。中国は、米国の追加制裁には、さらなる追加報復で応じる方針を明らかにし、米中貿易摩擦はエスカレートする一方となっている。
 中国は、米国と同時に同規模の措置を発動。第一弾として7月6日から大豆など農産品、自動車、水産品など545品目、340億ドル分に上乗せ関税を適用する。残りの114品目については別途公表するという。
 シカゴ大豆相場はこの数カ月、米中貿易摩擦の行方を巡って上げ下げを繰り返す展開が続いてきた。その時々のトランプ政権の言動による摩擦の激化、緩和期待が交錯。6月以降は、米朝首脳会談の行方が米中の貿易問題に及ぼす影響を考慮し、不透明感が漂ったが、15日のトランプ大統領の制裁関税発動方針の発表で、米中貿易戦争への懸念は一気に強まり、シカゴ大豆相場を急落に導いた。
 中国が公表した報復関税の対象品目には当然、大豆も含まれており、実際に中国が報復に出れば、米国産大豆の需要減少懸念がさらに広がり、シカゴ相場は一段安の可能性が高まる。現地15日のシカゴ大豆は7月きりが21・75セント安の905・50セントに下落。新穀11月きりも19・50セント安の930・50セントで引けた。
 このほか、米中西部の良好な天候も弱材料に。米気象予報センターの6〜10日予報(21〜25日)によると、米中西部は平年より気温が高く、雨量は多い見通しという。産地の土壌水分は潤沢とのことで、今のところ作物の生育に適した天候となっている。これを裏付けるように、米農務省のクロップ・プログレス(10日現在)では、大豆の作柄状況は「優」「良」の占める割合が74%と、高水準を維持している。
 当面は、弱気な展開が続きそうで、「大豆先物は目先、いったん9ドルを割り込むのは必至」(製油筋)との見方が強い。9ドル割れは、2016年の3月後半以来、2年3カ月ぶりのこととなる。製油各社にとって、大豆相場が下落するのは歓迎だが、1方でミールも下がってきており、ミールバリューの低下は油価への負担を重くする。7〜9月の大豆粕商談は先週後半段階で8割の進捗というが、先に進むほど値上げ幅が縮小しており、状況は厳しさを増している。先物相場は下がっても、ベーシスは高値圏にあり、見た目ほど原料調達コストは下がってこない可能性もある。また、菜種はウィニペグ先物が依然として500カナダドル超と高止まりしており、搾油採算の改善には程遠い。
 残る大豆粕の価格、そして菜種粕の価格がどうなるのかが重要なポイントとなるが、物流コストの高騰などもあり、7〜9月に関しても油価を下げる状況にないことは明らかだ。とくに菜種については厳しく、製油側では今後も「コストに見合った適正な価格を求めていく」姿勢に変わりはない。
 


 日清オイリオ