全国油脂販売業者連合会
 植物油協会の齊藤専務が講演
  油脂未来セミナーを開催
  国内外の取り巻く情勢等を説明
   全国油脂販売業者連合会(宇田川公喜会長)の油脂未来セミナー実行委員会(館野洋一郎実行委員長)の企画運営による第一回「油脂未来セミナー〜油の花から実へ〜」が6月14日に東京で開催された。宇田川公喜全油販連会長に続き、日本植物油協会の齋藤昭専務理事が「世界・日本の油脂情勢の変化、現状の油脂事情に関する各種論点」をテーマに講演した。
 齋藤専務は、「世界・日本の油脂情勢の変化(経済社会環境、世界経済の動向、消費者動向等の現状と植物油脂業界、油糧種子の国際市場と植物油業界の対応、油糧原料の動向、国内の植物油製造業の動向)と「植物油業界を取り巻く環境」(国際貿易交渉の変貌、国内諸制度等の変更等)に分け、幅広い話に及んだ。
 とりわけ油脂業界の関心が高いTPPについては、当初、大豆油、菜種油、加工油脂の課税を段階的に削減・廃止予定だったが、アメリカのトランプ大統領が離脱宣言したことを受け、アメリカ抜きの11カ国がTPP に今年3月に署名。11カ国のうち6カ国が批准を終えて60日後に発効することになっているが、菜種油関税などへの影響を見守る必要がある、との考えを示した。また、昨年9月に施行された原料原産地表示については「コーデックスなどの国際会議がないのに政治的に決まったもので、大括り表示、または表示、で妥協する形となった。しかし当協会は、制度が決まった以上、対応せざるを得ないため、植物油については『国内製造』の表示で具体的な調整を行っている」と説明した。さらに、GMO表示への対応、オリーブ油の規格化の動き、パーム油の認証問題について、民間認証のRSPOだけでなく、マレーシアの政府認証MSPOが選択肢として必要である」と説明した。
 このほか、世界の油脂情勢の変化、植物油業界を取り巻く環境などについての見解は次のとおり。
 2017/18年の植物油の世界総生産量は対前年比(以下、同)4・7%増の1億9823万トンとの見通し。品目別の大豆油は旺盛なミール需要から搾油量が増加したこともあり同3・5%増の5,574万トン、パーム油はマレーシア、インドネシアがエルニーニョ現象から回復して同7・4%増の6989万トン、菜種油はカナダ、欧州の増産もあり、同1・8%増の2,884万トン。その結果、ロシア、ウクライナの単収減で減産となったひまわり油を除いて前年を上回った。総消費は同3・9%増の1億9,160万トンの見通し。輸出は同0・3%減の8,094万トン。輸出は同0・4%増の7,553万トンの見通し。こうした生産・消費などの結果、2017/18年の期末在庫は同6・2%増の2,122万トンと想定され、植物油の世界需給は緩和基調となった。
 油糧原料の国際動向と国内動向をみると次の通り。2017/18年の米国大豆の需給に関して米国農務省はおおむね確定値となる関係数値を発表した。それによると、収穫面積は同8・3%増の3623万ヘクタール、単収は3・30トン/ヘクタール。生産量は同2・2て%増で史上最高を更新し、1億1,952万トンとなると予想。1方、競争力のある南米大豆との関係で輸出は弱含みで同5・0%減の5,620万トン。搾油量は同3・7%増の5,362万トンとしたうえで、期末在庫は同82・4%増の1,497万トン、在庫率は13・2%を見込む。日本が2017年に輸入した大豆は春先が米国産を中心に、夏にブラジルを中心に大幅に増加し、同2・8%増の321万8,000トン、と3年連続して300万トンの大台に乗せた。
 菜種は世界的に輸出余力の少ない油糧原料であり、貿易量の7割をカナダが占めている。世界中で約7,000万トン程度の菜種から2,600万トン程度の菜種油が生産されている。2017/18年の世界の菜種の生産は7,428万トンと見込まれている。消費(搾油)はEUと中国の増加で7,039万トン(同1・6%増)。輸出はカナダが同3・4%増の1,150万トンで、世界全体では同4・6%増の1,663万トンの見込み。輸入は前年が426万トンだった中国が470万トン(同10・3%増)となる見込み。以上の結果から、菜種の世界の期末在庫は前年を16・0%上回る619万トン。
 2017/18年のカナダの菜種に関して米国農務省は、収穫面積が同14・1%増の926万ヘクタール、生産量は対前年比9・7%増の2,150万トンになるのに対し、輸出は同3・4%増の1,150万トン。搾油量は同0・1%増の915万トン(前年914万トン)となるとし、期末在庫は同63・2%増の220万トン(前年135万トン)、期末在庫率は10・6%(前年6・6%)を見込んでいる。
 国内の菜種輸入は前年が240万トンを割ったが、2017年は再度240万トン台に乗せて、同3・2%増の244万1000トン。輸入金額は同14%増の1,293億円。2018年1月〜3月の菜種輸入は前年同月比3・0%減の59万3,000トンとなった。パーム油は世界中の植物油生産の3割程度を占め、油種別にみて最も利用されている。パーム油は赤道近くの熱帯地域が主要産地である永年性作物のアブラヤシの果実から得られ5〜30年にわたり年間を通じて結実することから、生産力が増減するサイクルを有しているが世界的レベルで拡大基調が継続している。
 2017/18年のパーム油の世界総生産についてオイルワールドは、同5・0%増の6,877万トンと予想している。うち、マレーシアは同7・2%増の2,032万トン、インドネシアは4・1%増の3763万トン。総輸出は同3・5%増の4,940万トン。このうちマレーシアが同6・3%増の1,746万トン、インドネシアが同1・2%増の2,680万トン。総消費は同4・3%増の6,687万トン。インドが同5・2%増の983万トン、インドネシアは同6・2%増の1,000万トン。世界全体のパーム油の期末在庫は16・1%増の1,239万トンの見通し。うちマレーシアは同24・0%の増加が見込まれている。
 パーム油の国内動向は価格面の優位性に加え、機能面についても高く評価されている。世界的な植物油需要で大豆、菜種油価格に対する相対価格の動向いかんで変化も想定され、今後の動向が注目される。2017年の輸入量はパーム油等の南方系油脂は同7・0%増の82万2,000トン。うち、パーム油は同9・3%増の70万7,663トン。精製油は前年並みに止まっているが、ステアリンが12万3,696トンと、春先の旺盛な需要もあり大幅な増加となっている。2018年1〜3月のパーム油等輸入量は対前年同月比20・3%増の21万4,120トン。うち、パーム油は対前年同月比21・4%増の18万2,959トン。
  国内の植物油製造業の動向をみると、2017年の植物油総供給は同4・0%増の275万4,000トンだったのに対し、総需要は同3・0%増の275万3,000トンとなった。うち、輸入原料処理による大豆油は同7・5%増の47万5,000トン、菜種油は同2・0%増の105万8,000トン。とうもろこし油は同1・1%減の7万8,000トン、ごま油は同4・1%増の5万トン、コメ油は3・7%増の6万6,000トンだった。
 


マレーシア需給統