加工油脂各社  
    海外乳製品高など影響し収益悪化
   第1四半期決算は減益に   
 国内需要も低調、生産前年割れ
         
   加工油脂各社の今第1四半期決算は、前期苦しんだラウリン油が高値から反落し、パーム油も落ち着いた相場展開となったものの、バターをはじめとする海外乳製品価格の高騰が採算を大きく圧迫、国内需要も低調な動きに終始したことから、各社とも全 に減益を余儀なくされた。パンや菓子などの売上げが伸び悩む中、食用加工油脂生産 も今年に入って前年割れが続いている。物流費や資材など周辺コストの環境も厳しく、収益回復に向けて各社、戦略の練り直しが求められている。
 大手加工油脂各社の平成31年3月期第1四半期(ミヨシ油脂は平成30年12月期第2四半期)決算のうち、食品部門の収益は、ADEKAが売上高177億400万円で同3・7%増、営業利益2億4,200万円で同45・5%減。ミヨシ油脂は売上高157億200万円で同1・7%減、営業利益1億5,500万円で同70・3%減と、いずれも大幅減益となった。日油の食品事業については、決算ではライフサイエンス事業に入っていること、また、カネカは前期からセグメントを変更しており、旧食品事業部の収益は決算短信に反映されていないことから、加工油脂を中心とする食品部門の収益は明確となっていないが、コストや需要環境の厳しさは他社と変わらず、加工油脂が厳しい状況にあることは間違いない。
 主力原料のパーム油は、マレーシアの先物相場が落ち着いた展開となっており、現状も2200リンギ台と低 安定。さらに、一昨年からの急騰で各社の収益悪化の要因となったヤシ油、パーム核油のラウリン油も、昨年秋から相場は反落し、いずれもロッテルダム相場は1,000ドルを割り、こちらも安値圏に 置している。少なくとも、下期以降のコスト環境は好転するものと見られたが、「それを相殺し、採算悪化の要因となっているのが欧州のバターをはじめとする海外乳製品の高止まり」(加工油脂筋)。欧州のバター相場は、昨年後半にかけて急騰。トンあたり8,000ドル超えまで暴騰し、歴史的な高値をつけた。年末から年明けには一時、値を落とす局 も見られたが、その後は再び上昇し、高値圏での推移が続いている。各社ともコンパウンド品などの価格改定を実施するもコストアップに追い付かず、今第1四半期の収益悪化の大きな要因となった。
 一方で、主力ユーザーであるパン、菓子の需要も低調に推移。食パンの生産 (食品需給研究センターの食品生産流 統計)は一年にわたって前年割れが続くなど、CVSの棚を見ても、菓子パンを含めてヒット商品が少なく、パン全体の売場がこの数年、盛り上がりを欠いていることは否めない。乳酸菌チョコやハイカカオ等による健康志向で活性化したチョコレートも一巡し、今年は落ち着きを取り戻している。この夏の猛暑による影響も加わり、ユーザー業界の需要低迷も加工油脂各社の収益に少なからず悪影響を与えていることは確かだ。
 実際に、日本マーガリン工業会がまとめている食用加工油脂生産 を見ると、今年に入って全体の生産 は各月前年同月割れ。とくに6月は前年同月比7・8%減と大きく落ち込み、1〜7月累計の生産 も40万トン弱と前年同期比1・8%減で推移している。
 パーム油、ラウリン油については下期に向けても、相場に大きな波乱要因は見られず、このまま低 安定が期待できそう。一方で、海外乳製品相場は高止まりしており、コスト環境は厳しさが続きそうだ。需要自体の問題も抱える中、各社とも収益改善に向けた道筋をなかなか見出すことができないが、コンパウンド品などを中心に「引き続き、価格是正に取り組む」(大手加工油脂筋)ことを含め、収益立て直しに向けた戦略の練り直しが求められている。
 


  パーム油