日本植物油協会  
   業界紙誌と恒例の懇親会を開催
  八馬会長が厳しい現状認識
 付加価値型産業への転換が課題
 
         
   日本植物油協会(東京都中央区・八馬史尚会長)は20日、東京・中央区の「北大路八重洲茶寮」で業界紙記者と恒例の懇親会を開催した。当日は八馬史尚会長(Jーオイルミルズ社長)以下、会長会社であるJーオイルミルズから善当勝夫取締役専務執行役員、服部広常務執行役員、内山明浩常務執行役員、宮川愛浩執行役員らが出席した。
 冒頭、八馬会長は世界的な異常気象や自然災害による被害の大きさに触れ、直近の西日本豪雨や北海道地震の被害者に対し、お見舞いの言葉とともに被災地の一日も速い復旧と復興を祈年すると述べた。
 そうした環境を踏まえて「異常気象という言葉が毎年使われているが、異常気象は、いまや定常化してきている。そのため、日本だけではなく今後も世界的な規模で起こる気候変動が植物油業界にも大きな影響を与えるものと捉え、長期、短期でリスク要因となることを改めて感じている」とした。
 さらに、米中貿易戦争が世界中の関心を集めている中で、アメリカは中国に対し2,000億ドル相当の輸入品に対し、第3弾の制裁関税を24日から発動するという報道を受けて「特にアメリカ大豆は我々製油業界にも関わってくるもので、米国の大豆農家のダメージは大きく、アメリカ農務省は緊急対策として一律の支援策を講じる状況だ。米中貿易戦争は油糧原料の動向と日米FTAの交渉にも大きな影響を与えることが想定され、異常気象と併せて、めまぐるしく動く世界政治の動向にも注意を払う必要がある。つまりは、各企業として、業界として環境変化対応能力を上げていくことが重要な課題だといえる」と貿易問題からくる心構えを指摘した。
 最近の業界動向については「協会の加盟企業各社の尽力もあって、植物油に対する理解や印象が大きく変わってきている。油の健康価値が認識され、さまざまな油脂の良さを各社がコミュニケーションしていることによって、末端での消費は概ね堅調に推移している。原料 では大豆原料とミール価格の関係で、今年度前半は搾油採算も比較的好調を維持できたところだが、一方では菜種原料の高止まりとミール安で、菜種の採算については厳しい。さらに今後は不透明さと厳しさが増してくるものと考えている。植物油の市場を考えた場合、従来の 販店の環境が厳しい中で、ドラックストアやECの興隆を始め流 の環境変化は大きい。業務用においても、需要家の話を聞くと、インバウンド等で一部活性化しているという話しがある一方で、全体では人手不足、人件費の高騰、物流費の上昇、原材料の高騰などに直 し、それはメーカーも流 も同様である。メーカーとしては、技術に裏打ちされた付加価値の高い商品開発と商品の提供に取り組まなければいけない」と強調した。
 油脂の価格変動については「原料、ミール相場基点が主体だったが、人件費、物流費など中長期のコスト構造を織り込んだ判断が必要だ。植物油産業は我国フードシステムの基幹産業で、装置産業でもある。政府が進める生産性向上運動に呼応し、装置産業としての性格を踏まえつつ、原料、為替相場等に左右されにくい付加価値型産業への転換を図っていくことが業界全体の至上課題である。農水省を交えた検討を継続しているところだが、できるところから速やかに進めていく必要がある。国民の生命を支える価値ある植物油を安心・安全、安定的に消費者に届ける責務を植物油産業は担っている。近年、植物油は健康価値が見直されており、一定の手応えを感じられる分野もある一方で、依然として科学的な論拠に乏しい情報がメディアを じて繰り返し流されているのも事実だ。こうした状況を踏まえ、当協会としては栄養学など最新の研究動向など、専門の先生方や日本栄養士会等と連携を強化し、植物油の役割、重要性に関する理解の浸透に全力で取り組んでいるところだ」と協会としての考え方を改めて示した。
 懇親会は最後に、善当勝夫取締役専務執行役員が「米中貿易戦争を気にしながら、製油業界全体で付加価値型油の開発に取り組み、しっかりと利益を上げるとともに社会貢献をしていきたい」などと述べ、散会した。
 


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